忍者ブログ
期間限定非公式 小説投下ブログ。黄色い双子への愛と緑の二人への愛であふれてます。 R-18になりました。
| Admin | Write | Comment |
アンケート
終了しました。
プロフィール
HN:
秋月。
性別:
女性
自己紹介:
北の地在住の大学生。時々波に揺られます。
何かありましたら下記のメールまで。
nanaironi@hotmail.co.jp
はくしゅ
おもしろいと感じたらぽちっと押していただけると光栄です。現在お礼は三種。ランダムです。
カウンター
フリーエリア
秋月。のくだらない日常。 雑記は全部こっちに書くことにしました。
アクセス解析
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お待たせしすぎてもうしわけありません……
新刊通販受付始めました。





 若旦那レン×花魁リン のパロディ小説です

 時代背景や文化など丸投げでござい。


 略してオイリン連載

 


 耳元で大きな音がしたと思ったら、節が見えるぐらいの距離に畳があって。
 侍に馬乗りされた時、殴られたんだということにやっと気づいた。


枯れ落ち葉の紅の色 拾参


 最初から、気にくわなかった。
 旅の途中だかなんだか知らないけど、
 しきたりを無視して、あたしを座敷に呼んだ侍。
 うちに来た瞬間から金と刀を見せびらかして、
 あたしに会っても当然だって顔しかしなかった。

 適当に酌をして、終わらせようと思ってたのに。
 組伏せられた。畳の上で。
 そのまま、逃げることも出来ずに、嬲られて。
「お前いい女だな鈴音……また来る」
 明け方に言われたその言葉を、思い出すだけで腹がたつ。

 あの男の声も顔も、着ていた着物の色さえ思い出したくない。



 抵抗出来ずにいいように弄ばれた事が腹立たしい。
 でも、それを全部金と権力で片付けられたのが、一番悔しい。

 花街で一番いい女の、このあたしが、金で全部、片付けられたっ


 今までだって、嫌な客は山ほどいた。
 それでも、
 こんなに悔しい思いをしたことがあっただろうか。

 自分の部屋の床の中で、歯を食いしばり拳を握り絞める。
 嬲られた体より、折られた自尊心のほうが痛い。
 鏡台に映る自分を見ればひどい格好で。
 腫れ上がった頬も、痣のある首も、
 この姿のどこが、花街で一番いい女なんだろう。

 これじゃあしばらく客もとれない。
 けど、それだけの金をあの侍は払って行った。
 こぼれそうになる涙は、こみ上げる怒りにかき消される。
 もう二度と会いたくない。
 それでもきっと、あの男はまたやって来て、
 金と力であたしの全てを買って行く。

 悔しくて悔しくて、自分じゃどうしようもできないことがなおさら悔しくて、怒りで頭が沸騰しそうになる。



 そんな頭の端で考えるのは一人の男のこと。
 あたしとそっくりな顔をした、他人とは思えない、あいつ。
 今日はあのばかが来る日なのに。


 もう一度鏡を見る。
 とても、白粉で誤魔化せる姿じゃ無くて。

 こんなんじゃ、会えないじゃない。

 今度は本当に涙がこぼれそうになって、鈴音は天を仰いだ。
 あのバカといる時の温い空気が、たまらなく恋しくなった。
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS: 管理人のみ表示

この記事にトラックバックする



この記事へのトラックバック
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[260] [259] [257] [256] [255] [254] [253] [252] [251]

Copyright c 七色二消エル。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Template by カキゴオリ☆ / Material By はながら屋
忍者ブログ [PR]