君を待つ
う~。と、床に座りこんだ彼女は唸る。
その度に伏せた頭のリボンがわずかに揺れた。
「おーそーいー」
彼女は時計を盗み見た。
現在、7時48分。
仕事の終了「予定」時間は、7時。
がばっと彼女は顔を上げた。
「遅ーい!」
力の限り叫ぶ。
「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いっ」
立ち上がり、その場に仁王立ち。
胸いっぱいに息を吸って、
「遅いのーっ!!!!!」
「ごめん」
へ? と、声のした方に顔を向ければ、肩で息をする彼がいた。
一瞬驚きに目を丸くするも、彼女は少々すねた顔になった。
額に浮かぶ汗をぬぐう彼をじっと見つめる。
「……がんばってお仕事終わらせてきた?」
「きた」
「……ここまで走ってきた?」
「きた」
真剣に頷く彼に、唇を尖らせながらも彼女は言った。
「なら、許す」
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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