君の熱の原因はきっと
「あらま。8度6分。けっこうね」
体温計を見たメイコ姉がため息をつく。
「今日は薬飲んで寝て、様子みましょ。
明日になっても熱が下がらなかったらマスターにお願いしてウイルスチェックを…」
あ、でも期限きれちゃった、とか言ってたような気がするわね、と首をひねるメイコ姉を他所に、
オレは赤い顔でベッドによこたわるリンの髪を撫でた。
「つらい?」
「だいじょーぶ」
布団にくるまれながらリンは少しとろんとした目でえへへ、と笑う。
不謹慎にも下半身が反応しかけるのは、悲しき男の性だろうか。
「レン、あたしちょっとカイトと話してくるから、リンのことよろしくね」
はと、メイコ姉がまだ隣にいたことを思い出した。
ああ、危ない危ない。
「熱が上がるようなこと、したらだめよ」
部屋を出る直前に言ったその言葉は、リンに言ったのか、
それともオレに言ったのか。
気づいてるんだろうなぁ、メイコ姉は。
時々、そんな視線を感じる。
ま、気づかれたからって、どうこうするつもりはないけど。
思考にふけっていたら、隣からけほけほと咳き込む音が聞こえて、
オレはあわててリンに意識を戻した。
少しつらそうな顔をしている。
「ごめん」
咳が落ち着いたところで言えば、リンは小首をかしげた。
「なんで、レンが謝るの?」
「なんでって」
暗闇の中ベッドの上で艶やかな声を出して乱れるリンの姿を思い出した。
ああ、あれからまだ半日もたってないのか。
「だってリンがこうなったの、多分オレのせいだし」
リンはまだわかってないようで、首をかしげたままだ。
「昨日、いじめすぎたかなって」
微笑みながらリンの首もとに手を伸ばす。
パジャマの襟の内側に指を入れて少し横にずらせば、
少し赤くなった肌の上にある更に赤いものが現れた。
「まだ残ってるね。まあ、まだ半日もたってないんだから、あたり前か」
そこまで言えば、さすがのリンもわかったようで。
「あ……」
顔を真っ赤にしてオレから目を反らした。
「昨日、リンに休む時間あげないでオレのペースでやっちゃったもんね。
ごめんね。あれじゃ、抵抗力落ちて当然だよね」
どんどん真っ赤になるリンがかわいくて言葉を続ける。
「でも、リンが悪いんだよ。あんなかわいい声出して誘うから」
「レンのばかっ!」
ぼふ、という音をたててリンが頭から布団をかぶった。
ああ、なんてかわいい、オレの恋人。
今すぐ布団から引き出して力いっぱい抱きしめてあげたいけど、
そこは我慢。
「リン、早く元気になってね?」
頭があるであろうところに布団の上からキスをした。
「元気になったら、またたくさんいいことしよ?」
弟に妹を襲わせたくないなら、早く帰ってきてよ、メイコ姉。
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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