たとえどんなに暑くても
じわりと額に汗が浮かぶ気温の中、
「れ゛ーん゛ー」
濁音付きの声をだして、リンが後ろから抱きついてきた。
「あ゛ーつ゛ーい゛ー」
微妙に柔らかい感触を背中に感じる。
それと同時に接触面の背中と首があつい。
「……あの、リンさん」
べだぁっとひっついてくるリンに呼びかける。
「発言と行動があってないんですが」
オレの苦情は、
「あついよー」
当然の如く無視。
「あついあついあつい~」
顔の横でリンが唸る。
いや、だから発言と行動があってないってば。
「あついから、離れて」
くれませんか、と言う前に、ぐっと首が絞められた。
「なんでそういうこと言うのー?」
不満そうな声が聞こえるがこっちはそれどころじゃない。
死ぬ! 死ぬから!
ばんばんと首に回されたリンの腕を叩く。
「……しょーがない」
そんな言葉と共にオレの首は解放された。
ぜぇはぁ、と、肩で息をするオレの前にリンは腰を落とす。
「暑くても好きな人と一緒にいたい、っていう女の子の気持ち、なんで理解してくれないかなー」
もー、と、リンは拗ねた声を出す。
そんなよくわかんないことで拗ねられても。
「……どうすれば、いいわけ?」
恐る恐る聞くと、リンはツンとそっぽを向いた。
自分で考えろ、ということらしい。
「……風呂でも、一緒に入りますか」
ない知恵を絞って答えを出すと、リンが怪訝な顔をして首を傾げた。
不正解か。
「なんでお風呂?」
「いや、風呂なら、ひっついても涼しいかな、と」
また拗ねられるんだろうな、と思いながらため息をつく。
と、リンが胸の中にとびこんできた。
背中に手を回され、ぎゅうっと抱きしめられる。
何? と思っていれば、甘えるように顔を胸にすりよせられる。
きょとんとしていると、リンが顔を上げた。
にっこり笑いかけられる。
「早く行こ?」
その笑顔を見る限り、リンはご機嫌なようだ。
リンの思考は相変わらずよくわからないけれど、とりあえず自分は合格したらしい。
甘えてくるリンの髪を撫でつつオレはそんなことを思った。
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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