人が近づいてくる気配に、目を覚ます。
覚まして、後悔した。
なんで目を覚ました、オレ!
体を動かしてないのに、身をくるむ布団が動く。
背後に感じる気配に頭を抱えたくなった。
なんで来るんだよお前は!
固く目を閉じて、再び眠りにつこうとする。
が、一度覚醒した意識はそう簡単に落ちてはくれない。
背中の向こうでごそごそ動く気配があればなおさらだ。 ああ、くそ。今日もかよ。
体を動かさないようにして、眠っているふりをする。
そうしていれば、彼女はオレの背中にひっつくようにしてすやすやと寝息をたてるだけ。
の、はずだったのに。
突然、上にしていた肩を掴まれた。
そのまま後ろにひっぱられ、強制的にオレは仰向けの格好をとる。
なに? なに?
一体なにが。
思わず目を開け、突然のことに訳がわからずぐるぐる思考を回していたオレは、
次の瞬間息をのんだ。
肩を中心に体の右側に人の柔らかさを感じる。
首と顎にあたる髪の感触。
それが、わずかに移動する。
そう、まるですりよってくるように。
「っ!!」
思わず体を動かして逃げた。
「レン起きてたの?」
リンは当たり前のようにオレのベッドで体を起こした。
声に焦りはなにもない。
慌ててるのはオレ一人かよ。
「……今起きた」
「起こしちゃったか。ごめんね。じゃ、寝よう?」
ポスン、とリンはベッドに体を倒した。
その隣に横になることなんてできるわけがなくて。
オレは布団に潜るリンを暗闇に慣れた目でぼおっと見ていた。
これからどうしようか、と考えていたら、また突然体を掴まれた。
そのまま布団の中に引きずり混まれる。
「ちょ、リン!?」
焦るオレなんて、リンには関係ないようで。
「じゃ、おやすみ~」
リンはそう言って、オレの腕の上に頭を乗せた。
それだけでも十分パニックなのに。
細い腕が伸びてきて、オレの体にしがみついた。
「ちょ、まっ、待っ!」
「おやすみ、レン」
オレの意見は一切無視して、リンはすとんと眠りに落ちた。
残されたのは、強制的腕枕&抱き枕状態で一人パニックなオレ。
眠れるわけは、ない。
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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