目尻から伝わる君の思い
閉じた両目の目じりにたまる涙を拭い、涙で頬にはりついた髪をとった。
シャツを握りしめて固くなっている指を起こさないように気をつけながら一本一本ほぐしていく。
右手が終わったところで、左手を見れば、そこには自分のネクタイがぐるぐるに絡みついていた。
どうなってるんだ、と構造を理解しようとしたのは3秒だけで、起こさないようにとるのは無理だと判断したオレは自分の首からネクタイを外した。
そうしてやっとベッドから抜け出す。
彼女の体にタオルをかけその部屋を後にした。
「は~」
冷たい麦茶を飲み干せば自然と大きなため息が出た。
「……肩凝った」
ずっと変な体制で腕枕をやってたんだから当然だろう。
疲れたな、と思いつつ、リンの涙で濡れた服を脱いだ。
別に、泣きじゃくるリンをあやすのは嫌いじゃない。
寧ろ好きだ。
涙を流しながらオレの名前を呼ぶリンの目にはオレしか映っていない。
その占有感が好きなのだが。
いかんせん、疲れる。
もう解放されたから、よかったけど。
そう思った直後、どん、と後ろから衝撃が来た。
体に回される細い腕。
背中に感じる水の感触。
握りしめられた黄色のネクタイ。
「……起きたの、リン」
あやすようにその手をとり、リンと向き合えば、涙目で睨まれた。
訳:どうしてリンのこと置いてったの。
「ちょっと喉乾いたなって、あと服取り替えに。すぐ戻るつもりだったよ?」
必死に弁解すれば、リンはオレの胸に顔を埋めた。
背中に回された手にぎゅうっと力を込められる。
涙の感触に、こっそりため息をつく。
解放されるのはまだまだ先のようです。
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
PR