Only my doll
「リン」
薄明かりの中、名前を呼べば、ぐったりベッドの上に四肢を投げ出している彼女はうつろな目をこちらに向けた。
「生きてる?」
問えば、腕が一本、ゆっくりこちらに伸びてきた。
手首をぐるりと取り囲ように腫れた赤は、行為中ずっと掴んでいたためについた痕。
その痕を指先で撫でれば、リンの指が絡んできた。
オレの指と組もうとするリンの指の必死さに苦笑がもれる。
「起きてるならオレが寝るスペース、作ってほしいんだけど」
そう言えば、リンは大人しく手を放し、自分の体を引きずるようにしてベッドを半分開けた。
そのスペースにありがたくおさまり、布団を引きあげた。
どうせもう汚れているんだし、と体の汚れなんて気にせず布団で体を包んだ。
「じゃ、おやすみ」
リンの寝息はすぐに聞こえ始めた。
さっきの時点で既に眠りかけていたのだろう。
オレが体を起こしても、ぴくりとも動かない体に手をかけ、あらわになった首筋に噛みついた。
赤い印がついたのは、首の裏側。鏡を二枚つかわなければ、わからないようなところ。
そのまま、背中や肩に唇を寄せていく。
満足いくまで印をつけた後、布団でリンの体をくるみ、その耳元で音無く囁いた。
愛してる。
声には出さないこの言葉。
どんなにリンが待ってていても。
ご褒美は簡単にもらえないからこそ価値があるだろ?
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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