愛してるの誕生日 3
大好き大好き大好き大好き。
大大大大大好きなの。
ねえ、
どうすればこの思いは伝わるの、
「ふ……うえぇ」
まじで泣き出したリンは、扉にそってずるずると崩れた。
嗚咽が部屋に広がる中で、レンはずいぶん悩んでから、リンの前にしゃがんだ。
大粒の涙をこぼしながらリンがレンを見る。
「行っちゃ、やだぁ」
「……わかった」
リンが、え? と、目を見張る前に、レンは鞄から携帯をとりだした。電話をかける。
「あ、マスター? ごめん。今日の仕事、できません。ほんとごめん。誰か他の人にして。ネルにも、謝っておいて。それじゃあ」
一方的な通話を一方的に終わらせ、レンは呆然としているリンを見る。
「これでいい?」
聞かれて、レンは行かないでくれるんだ、と
こくん、とリンが頷く。
手を伸ばしてうつむき気味だった顔をあげさせ、滝のような涙を拭う。
「……そんなにオレのこと好き?」
「好、き。大っ好き。だぁいっすきぃっ」
嗚咽まじりにリンが答える。
けれど、聞き手のレンは半信半疑だった。
『好き』だなんて、誰にでも言える。
ぼろぼろ涙を流すリンの頬を撫でながら、レンは聞いた。
「……愛してる?」
一瞬でリンがきょとんとした顔になった。
その顔に、レンはほら、と心の中で笑う。
結局リンはオレを、兄弟としてしか見てな、
「あいしてる」
空色の瞳が、まっすぐ見つめあう。
「レンのこと、愛、してるもんっ」
涙まじりの、リンの言葉。
意味なんて、考えてないのかもしれない。
ただ、オレが聞いたから答えただけかもしれない。
でも、それでも。
リンの顔を両手で引き寄せる。
「オレも、リンのこと愛してる」
涙まみれの唇に、ふれるだけのキスをした。
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