枯れ落ち葉の紅の色 拾弐
「っは、く。うあ」
座敷に喘ぎ声が響く。
もちろん、私のじゃあない。
「鈴、音っ」
苦しそうに息を呼う音を混ぜて、バカがあたしの名前を呼ぶ。
「待って、くれ。これじゃ、あ」
「嫌よ」
笑いながら動けば、あたしの下でバカがつらそうに呻いた。
男を呻かせるのは元から嫌いじゃあない。
動く度こぼれる水音とバカの呻き声に、少しだけあたしの甘い声を混ぜて部屋に響かせた。
はち切れんばかりに固くなった熱の塊を体の中で締め上げると、一層大きい呻き声が上がる。
「だめよ、まだいっちゃ」
「む、りだっ」
左手首を掴まれた。折れるんじゃないかと思うくらい握り絞められる。
「鈴音! 鈴音! 鈴音!」
狂ったように名前を呼ばれて、なんでか手じゃなくて胸が苦しくなった。
「っあ!」
どくり、と下から吹き上がる熱を、
「ん……」
一滴残らず、受け止めた。
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