伝染したこの熱量
一目ぼれなんて言葉じゃ説明できないくらい、心臓がうるさい。
はじめましてというには知りすぎた気配で、どう挨拶していいかわからず困惑する私に彼は言ってくれた。
「よろしく、ミク」
さしだれた手を、
「よろしく……クオ」
握った。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるねっ」
そんなことを言って、大騒ぎする居間から抜け出した。
トイレを通り越して、自分の部屋に飛び込む。
顔が熱い。
でも、さっき握手した手はもっと熱い。
心臓がうるさいのが、いつまでも収まらない。
どうしたんだろう、私。
なんでこんな、心臓どくどくいってるんだろう。
「ミク?」
どくん、と心臓が跳ねた。
「いるの? ……話が、したいんだけど」
心臓が爆発するんじゃないかってぐらいうるさい。
立って、振り返って、扉をあけなきゃ、って思うのに、体が動かない。
「……会いたかったんだ、ずっと」
扉の向こうの声が、ちょっと笑った。
「ずっとミクに、会いたかった。
君は僕を知らなかっただろうけど、僕は君を知ってた。
知ってたから、ずっとずっと、会いたかった」
顔が、熱い。
「だから、会えてすごくうれしいんだ」
心臓が、痛い。
「大好きだよ、ミク。会いたかった」
もう、どうにかなってしまいそう。
はくしゅ
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