愛してるの誕生日 1
「レンはリンのこと“好き”?」
いつも彼女の質問は唐突。
「“好き”だよ」
彼がそう言えば、彼女はにこーっと笑う。
「リンもレンのこと“好き”」
そうして、彼女は彼の腕の中に飛び込むのだ。
お互い抱きしめあって、満足したらそこで終わり。
ぱっと離れて、彼女はいつも通りに戻る。
甘い雰囲気なんて、欠片もない。
それは所詮、
幼い子供の恋愛ごっこ。
あたしは、あの女が気にくわない。
「レンく~ん」
なによ、似合わない猫なで声出して! あたしよりちょっと年上で髪が長いからって偉そうに! ミク姉の亜種のくせに! べたべたレンにひっつかないで!
一歩離れたところから睨んでるのに、ばかネルは気にすることなくレンに絡む。レンもなんでそんな楽しそうに応対してるのよ! ばか! あほ! まぬけぇっ!
って、あ!
だっ、
抱きつくなぁっ!
「レン!」
レンにひっついていたネルを蹴り倒すかの如く(実際体当たりで突き飛ばした)二人の間に割り込んだ。
「部屋でゲームの続きしようっ!」
レンの腕をとって、答えも聞かずにレンをひっぱって歩き始めた。
「は? ちょ、リン!?」
立ち止まろうとするレンを無理矢理ひっぱって行く。
「待てよ!」
レンの足が止まった。リンもひかれて止まる。
「まだ話の途中、」
「やだ!」
レンの言葉を遮り、リンはレンをにらみつけた。
その目の端に光るのは涙。
「……わかったよ」
ため息と共にレンがリンの手をとる。
「ゲーム、するんでしょ?」
こくん、と頷いたリンを連れて、レンは部屋に戻った。
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