午前四時
耳につく音が、暗い部屋の中に響く。
一見、白い布の塊にしか見えないほど乱雑に置かれた布団の中から一本の腕が生えるように飛び出し、そばにあった時計を掴んだ。
布団の影から02の文字が覗く。
「……まだ四時じゃん」
布団から顔を出した黄色い頭の彼は、時計を布団の外に投げ出すと大きく舌打ちをした。
「こんな時間に呼び出すなよクソマスターが」
そんなことを言いながら彼は気だるそうに体を起こす。
まだ発育途上のその体には衣服がなく肌全体が露出している。
布団の下であぐらをかき、体を起こした彼はあくびをかみ殺しながら少し長めの髪をがしがしとかく。
と、彼の隣の布団が不気味に動いた。うめき声のようなものも聞こえる。
彼はそれを一瞥すると、にやっと笑った。立て膝をつき、それを眺める。
それはしばらく不気味な行動を続けていたかと思うと、
「ん゛あ゛っ!」
布団の端から黄色いものが飛び出した。
「ばーか」
間髪入れずにそう言い放った彼を、やっと布団から抜け出せた彼女は睨みつけた。
彼と同じ発展途上の露出した体に、腕の02の文字。
「気づいてたんなら助けてよっ!」
「嫌だね」
ばーかばーか、と繰り返す彼に彼女は頬を膨らませてそっぽを向く。
その様子を見た彼は楽しそうに笑い、ふと表情を変えた。
「リン」
名前を呼ばれた彼女は拗ねながらも顔を向けようとする。
振り向くその前に、彼の手が彼女の頭を捕らえた。
抵抗する間もなく引き寄せられ、唇を塞がれた彼女は反論の声を上げた。
けれどそれさえも彼は呑み込み、彼女の口内を犯していく。
彼と彼女の体は再び布団の波に沈んだ。
けたたましい呼び出し音が響く中、彼はようやく彼女の唇を解放した。
しつこいなあ、と再び舌打ちをする彼の下で、彼女は新鮮な空気を求めて必死に肩を上下させていた。
潤んだ瞳で彼を見つめる。
「レ、ン」
「無視してればそのうち諦めるでしょ」
彼女の黄色い外ハネの髪をすきながら彼は言う。
「こんな時間に起こすあいつが悪い」
彼は笑い、彼女もそれにつられたように笑う。
そして彼らは再び唇を重ねた。