ボスとキミと
「レンー! これどーしてもボスが倒せないっ!」
攻略できないゲーム片手にレンを探してたのに、居間にレンはいなくて。
変わりにいたのは、
「久しぶりだね、鏡音妹」
ミク姉とおんなじ顔をした男の子。
「ミクオがいるー! なんでー?」
駆け寄るとため息を一つつかれた。
「食材もらいに来た。理由は面倒だから言わない」
言わないと言いきられるともう何も言えなくて、悔しいけどあたしはその話をやめた。
「ミクオはこのゲームできる?」
「ゲームなんてしたことないよ」
ばかにしたような口ぶりにあたしはかちんとしてミクオにつめよった。
「やってみれば楽しいから!」
「やりたいわげじゃないから遠慮する」
「いいからやってみなさい!」
「やだよ」
「やれー!」
叫びながらミクオにつかみかかろうとした時、
後ろから首根っこを掴まれて引き離された。
「なにやってんだよリン」
首を回してみれば、あたしと同じ顔の男の子がいた。
「レン! だってミクオが!」
「お前、ここでなにしてんの」
レンがミクオを見て言う。
「お前に話すつもりはないよ鏡音弟」
数秒間、レンもミクオも動かず、居間がシーンとなった。
そしてあたしはレンに引きずられて、ミクオから離れた。
「リンが探してる、ってミク姉から聞いたんだけど」
レンがぶすっとした顔をしてるから、あたしは内心首を傾げる。
「これ、どーしてもボスが倒せなくて」
ゲームを出すとレンが床に腰を落とした。そしてあたしの手ごとゲーム機をつかんで引っ張った。あたしはレンの腕の中に落ちる。
「貸して」
そう言って、あたしの頭の横でゲーム機を起動させる。
さっきから不機嫌そうなこの態度。それでいて、無駄にくっつこうとするこの態度は、
「やきもち?」
かっとレンの顔が赤くなった。
「違うよばか!」
ゆでダコみたいな顔で否定されても説得力はなくて。
あたしは思わず笑ってしまった。
「なに笑ってんだよ!」
「だって~」
「笑うならボスの倒し方教えないけど!」
「それはだめ!」
あたしはあわててレンの膝の上で居住まいをただす。
そして、レンを首を傾げ、上目遣いで願いを一つ。
「教えて、レン」
目があった直後、レンがものすごい速さで顔をそらした。
首の赤さにほくそ笑んでいると、ゲーム機を押しつけられた。若干まだ赤い顔がこっちを向く。
「横から口だしてあげるから、操作は自分でしなよ」
「はーい」
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はくしゅ
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