銀色手錠の魅せる夢 1
ベッドの上で胡座をかき、その上にリンを乗せる。
特になにをするでもなく、互いの体温を感じながらぼーっとするのは、いつものこと。
だから、その日も胸にリンの頭を感じながらぼーっとしていたのに。
「レンは、あたしのこと好き?」
「?」
突然、リンは聞いてきた。
いきなり何を今さらなことをと思えば、リンがにっこり笑った。
「あたしはレンのこと好きだよ?」
リンが浮かべる笑顔がどこか妙で。
嫌な予感に、体を引いた。
追うようにリンがしなだれかかってきて、オレは後ろに手をついて倒れかかった体を支える。
「レンがだーい好きなの」
オレの体に体重をかけながら首の下でリンが言う。
「だから」
不意に、左の手首に金属質の感触を感じた。
反射的に目を向けるが、それが何か確かめる前に肩を強く押されてオレはよろけた。
左の手首が頭上方向にひっぱられる。
ベッドに体が沈むと同時に聞こえた、かしゃん、という音。
馬乗りになったリンが、すごくイイ笑顔で見下ろしてくる。
「今日はあたしがレンを気持ち良くしてあげるね」
「……なに言ってんだか」
自分の上からリンをどかして、冗談はやめろ、と言うつもりだった、のに。
左手を動かせば、がしゃんと音がなった。
手首に回った何かに引かれて、顔にさえ手が届かない。
「は?」
まさか、と思いながら顔をずらして頭上の左手を見れば、その手首にかかっている銀色の輪は、たしか、手錠、という名前のものだったと思う。
「……なにこれ」
呆然と手首とベッドの枠を繋ぐ鎖を見つめる。
「この間、安売りしてたから買っちゃった」
楽しそうな声に視線を戻せば、イイ笑顔のリンがオレの服(というかズボン)を剥いでいた。
「ちょっ!」
慌てて自由な右手でリンの手を掴んだ。
片方だけ。
「あの……まじ?」
冗談に決まってるじゃん。という返答を期待していたのだが。
「ん? おおまじだけど?」
服がめくれて露出していた脇腹に音をたててキスをしてから、リンはにこっと笑い、こちらに顔を近づけてきた。
それは、昼間、家族の前でみる少女の顔ではなく、夜中に布団の中で垣間見る、女の顔。
「別に、変なSMプレイみたいなことするつもりはないから安心して?」
唇と唇の距離が数センチのところで、リンは言った。
「気持ちよくしてあげるからね、レン」
ぽちっとおしていただけたら光栄です。
誤字とかも発見したら遠慮なく言ってやってください。
はくしゅ
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