私が鏡音ズにはまるようになったきっかけ。
えっと、
好きを連呼する女の子は愛おしいよね!
ってのと、
好きを連呼されるのは恥ずかしいよね!
ってのを表したかったんです。
思ってたのとびみょーに違うのになってしまったような気がしますが、これはこれでいいか、な? と思うのでお披露目。
続きからどうぞ。
好きだよと
「レ~~ンっ」
後ろから聞こえた声と間隔の短い足音に、床に座っていたオレは手にしていた楽譜から後ろに顔をやった。
まず認識したのは、黄色スカーフ。
直後、
「うげぇっ」
上から押しつぶされた。
変な格好のまま床に押しつけられ、いろんなところから悲鳴が聞こえる。
「リンっ、痛い痛い!」
なんとかリンの下から抜け出して見ると、妙ににこにこしたリンがいた。
「大好きっ!」
「は?」
笑顔の理由を考える前にそう叫ばれた。
「……なにが?」
一応聞いてみる。
「レンがっ!」
……意味が、わからない。
リンは相変わらずにこにこしてる。
「他に、用は」
「ないよ?」
当たり前のように返された。
どうしてそんなこと聞くの? という顔で首をかしげられる。
「どうしたの、いきなり」
リンは、マスターのとこに行っていたはずだ。数時間前、そう言ってこの部屋を出て行ったのに。
「練習は」
「終わったよ?」
にこにことリンは笑う。
マスターのとこにいたはずのリンが、ここに走って戻ってきた。ただ、オレに好きだというためだけに?
「……ほんとになにか用事あったんじゃないの?」
リンの行動がどうにも理解できなくてそう聞いた。
リンはリンでどうしてそんなことを聞くのという顔をする。
「だからぁ、リンはレンが大好きなんだってばー!」
「いや、それはわかってるから」
言った後に自分が言った言葉に、はたと気づいて顔が熱くなった。
いや、間違ってはいない。
好きだという言葉はリンからもう何度聞いたかわからないくらいに聞いているし、こっちだって何度か言っている。
甘い雰囲気になることだって何度もあるし、キスだってする仲なのに。
そう、今更なのだ。
「なんかあった?」
聞いたとたん、にへらぁっとリンが笑った。
意地の悪い笑顔ではない。にやけている、と言ったほうが正しい。
「なにかしたのはレンでしょー」
……は? え? なに、オレなんかした?
慌てて記憶をたどるオレの前でリンはにこにこと笑っている。
「一昨日リンが歌った曲、レンがコーラス歌ってくれたんだねっ!」
そういえば、そんなこともあった、けど。
「リンさっき初めて知ったよ! どーして言ってくれなかったの?」
「いや、別にわざわざい」
「リンすっごいうれしかったっ! ありがとレンっ! 大好き!」
オレの言葉も聞かず、リンは一人ではしゃいでいる。
あれはただ、マスターに歌を聞かされて、ちょっと気に入ったから、コーラスででも歌いたいと思って、歌わせてもらっただけなのに。
別にそんなに喜ぶことじゃないのに。
「レン大好きっ」
「わかったから」
「大好き大好き大好きっ!」
だんだん、恥ずかしくなってきた。
にこにこと笑っているリンをオレは黙って引き寄せた。力一杯抱きしめる。
「オレもリンが好きだから」
頬が赤くなっていくのを感じる。ああ、もう。今日はこんなこと言うつもりなかったのに。
へへ~、という声と共にリンが腕の中でもぞもぞと動いた。二つの手がオレの背中に移動し、精一杯だろう力を込められる。
「レン大好きっ!」
「……もういいって」
あきれながらも、リンを抱く腕に力を込めた。
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はくしゅ
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