もう 分。
「ねぇ、レン?」
リンの声にオレは過剰に反応してしまった。
「なにを、したいの?」
その言葉はオレの心を深くえぐる。
顔が熱い、繋いだ手が熱い。
手のひらが汗ばむのを感じるけれど、せっかく繋いだ手を離したくなかった。
「ねーレンってばー」
答えないオレにしびれをきらしたリンが半泣きの声をあげる。
もう少し、もう少しだけ待ってくれ。
そうしたらちゃんと、好きだと言うから。
手を繋いでからもう5分。
「ねぇ、リン」
レンの声に、あたしはその腕の中でもぞりと動いた。
「まだ、だめ?」
「だめ」
即答すると、レンは呆れたように息をはく。
「レン、嫌?」
レンの肩から顔を離して聞くと、レンの笑った顔が見えた。
「ちょっと退屈してきたかなーと。まあ、まだこのままでいいけどさ」
その答えを聞いて満足したあたしは再びレンの肩に顔をあてた。
優しい力で抱きしめられる。
もう少し。もう少しだけ、
あたしだけが知ってるこのぬくもりを堪能してたいの。
抱きしめられてから、もう30分。
ぽちっとおしていただけたら光栄です
はくしゅ
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