十日ぶりのこの熱に
十日ぶりに姿を見て、もう止められなかった。
「ん……ふ、ん」
家族の目を盗んで忍び込んだ部屋に息を吐く音が響く。
息を吸うその一瞬すら、唇を離すのがもったいなくて、私はどんどんおぼれていく。
クオの体に回した手が熱くて、クオの手が当たるところも熱くて。
くらくらする熱に、頭の先までどっぷりつかる。
ふと唇が開放された。
うなじを滑る唇に体が震えた直後、しゅる、という布擦れの音に熱が冷めた。
「クオ!?」
体を離して見れば、自分のネクタイが外されていた。
目の前で、クオのそれも解かれる。
「ミクが欲しい」
たった一言に、体がぞくりとする。
「でも、こんなところじゃ、気づかれ」
「キスだけなんかじゃ満足できない」
少しゆがんだまっすぐな瞳に、言葉が出なくなる。
「で、も……だっ……て」
「ミク」
指先にキスを落とされた。
感じた舌の感触がまた体をぞくりとさせる。
「僕に、ミクをちょうだい?」
断ることなんて、できなかった。
十日ぶりのこの熱に、私も彼も、おぼれていく。
ぽちっとおしていただけたら光栄です
はくしゅ
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