足りなくて Ⅱ
ぎし、という音に、意識を引き戻された。
なんの音だろう、と重いながらももう一度眠りにつこうとした時、声が聞こえた。
「あ して 」
リンの声だと思った。
直後、口になにかを感じた。
今のは何だ……と、考えているうちに、また別の音が聞こえた。
「ひっ……ふ、え……」
すすり泣く音……
泣く?
リンが?
「リン!?」
飛び起きて見ると、ベッドの端にリンが座っていた。
頬に触れれば、見開いた目からこぼれる涙で手が濡れた。
「どうしたの? なんで泣いて……怖い夢でも見た? それともどっか痛い?」
リンがうつむく。
眠気なんて吹っ飛んだオレは、リンの顔をのぞき込む。
「……して?」
「ん?」
聞き取れなくて、耳を近づけようとしたら、
胸ぐらを掴まれた。
そのまま、ベッドに沈められる。
「どうして!」
悲しい叫びだった。
「どうして、そうなのよ」
意味がわからなくて、頭の中を疑問符が駆けめぐる。
「どうして、どうして? なんでそんな風に、姉弟としてしか触れてくれないの。
あたしの気持ち、わかってくれないの。そんなにありえないことなの?」
リンの、気持ち?
ぐるぐる考えているうちに、リンの顔が迫ってきた。
「好き。こんなに、レンが好き」
わけのわからないうちに、リンからのキスを受けた。
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はくしゅ
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