にこやかに
「ねえ、リン。オレのこと、好き?」
彼は問う。
「好き、だよ」
彼と壁の間で、彼女は答えた。
「一番?」
彼は彼女の頬に手を添えた。
「一番、だよ?」
彼女は頬をすべる指先に視線を向けながら答える。
「ほんと?」
「ほんと!」
彼女は彼の目を見て叫んだ。
彼は微笑む。
「そっか、よかった」
彼は彼女の体に手を回し、うなじに頬を寄せる。
彼女は彼の行動に首をかしげながらも、彼の体を抱きしめた。
「ねえリン」
ぎゅう、っと彼の、彼女を抱く腕に力が込められた。
すこし痛いそれに、彼女は眉を寄せた。
「な、に?」
「オレのこと、好きなんだよね?」
「うん。好き」
「一番なんだよね」
さらに彼の腕に力がかかる。彼女は息を詰まらせた。
「一、番だよ?」
「じゃあさ」
ぎり、と、彼女の体がきしむ。
痛い、と言いかけた彼女は、突然体に走った激痛に目を見開いた。
自分の中から聞こえる、ばり、という音が信じられなくて、彼女は彼を見る。
「このままオレのものになってよ」
にこやかに笑う彼の腕の中で、彼女は行動を停止した。
ぽちっとおしていただけたら光栄です
はくしゅ
PR