けんか
「なによこのへたれ!」
その言葉に、ぴきっときたからこっちも言ってやった。
「なんだよまな板!」
「なっ」
リンの頬がひくっとなった。
「このちび!」
「色気なし女!」
「そちん!」
いつもなら女がそういうこと言うな! と言うところだけど、この時ばかりは頭にきたから、言ってしまった。
「胸揉むぞこら!」
リンが戸惑って困った顔になるだろう、と思った、のに。
「揉んでみなさいよ!」
リンは困るそぶりなんて少しも見せずに、
「ほら!」
オレの手を掴んだかと思うと、自分の服の中に入れた。
手のひらに伝わる肌のぬくもり。
滑らかな肌触り。
そして、指の付け根にあたる、小さな、
「ふんっ!」
動けないオレの手を、リンは捨てるように離した。
「やっぱりへたれじゃない。ばーか」
部屋から出ていくリンをオレは何も言わずに見送った。
いや、なにも言えなかった。
まだ感謝の残る手を呆然と見つめる。
「あいつ」
顔があつい。
「下着つけてないのかよ……」
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はくしゅ
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