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期間限定非公式 小説投下ブログ。黄色い双子への愛と緑の二人への愛であふれてます。 R-18になりました。
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 若旦那レン×花魁リン のパロディ小説です

 


 枯れ落ち葉の紅の色 漆



 酒で満たされた徳利を、奴の頭の上でひっくり返す。
 酒まみれになりながら私を見開いた目で見つめる奴に笑顔で、
「二度と来るんじゃないわよ、この下衆」


 って言ってやれたら、どんなにすっとするだろう。
 隣で美味しそうに酒をのむ奴を盗み見ながらそんなことをずっと考えていた。

 四回目の今日は、座敷に入った直後、抱きしめられた。
 会いたかった、と。

 首を締めたくなるのを必死にこらえて拘束をとかせ、席に座らせ酌をして今にいたる。
 奴は他の客がそうであるように、飲みほした盃を私に向けてきた
 ……つげっていうことかしら?
 ええ、いいわよ、おつぎしますわ。それが仕事ですから。

 それにしても、緊張でがちがちだった前とは随分態度が違いますけど、一体どういう成長をとげたてきたわけ?

 笑顔の下で溶岩流のような怒りを沸騰させつつ酒を注ぐ。

「……どうかしたのか?」
 盃を口元まで止めて、奴が私の顔を除き込んできた。
「調子が悪そうに見える……具合でも悪いのか?」

「あんたと話したくないのよ」

 なんてことも言えるわけなくて、
「気のせいじゃありません?」
 にっこり笑ってやった。

 なんなのこの男は。
 反省しているどころか、前より態度が大きくなってるじゃない。自分がなにしたか忘れた?
 痕つけたこと気づいてない?
 いや、あんなくっきりしたもの、一回じゃなくて意識して重ねなきゃ残らない。

 それに気づかなかったあたしもあたしだけど。


 首もとのそれにふれる。
 この数日、ばれないように必死だった。
 日に何度も白粉を塗り直して、客には飲み比べをもちかけていつもの何倍もの酒を飲ませて酔い潰した。
 こんな努力、今までしたことなかった。

 胸の中で大きくなる屈辱を必死になだめていた時。

 指の上にもう一組指が重なってきた。

「消えてしまったのか」
 悲しげに奴が言う。

 こいつ、やっぱりわざと、

 そう思った直後、持っていた徳利で奴の頭を殴っていた。

「ふざけんじゃないわよ! これ隠すのどれだけ大変だったと!」
 見開いた目で私を見てくる奴に、飛び出すままに罵声をあびせる。
「花街の掟知らない奴が、花魁揚げようとすんじゃないわよ、阿呆!」
 握っていた徳利を床に転がして立ち上がった。 

 徳利で殴って、阿呆と言って。いくら温厚そうなこいつでも、さすがにだめでしょ。
 客に拒否されるなら、こっちから切ってやるわよ。

 ちょっとだけ惜しい、って思うのは、金払いのいい客だったからよ。そうに決まってる。

 でも、
 これでさよなら。
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