枯れ落ち葉の紅の色 伍
「姐さんおかえりーっ」
「……なんで起きてんのよ、あんたたち」
こんな時間なのに部屋に新造がいて、しかも襖を開けたとたん黄色い声をかけられて、あたしはあっけにとられた。
「だって、どんな酒豪でもべべれけに酔わせちゃう姐さんが」
「どんな巨漢でも精根しぼりとっちゃう姐さんが」
「未の刻すぎても帰ってこないんだもん」
「おきてなきゃ損だよね~っ」
きゃっきゃと騒ぐ新造たちに、もう何も言えなかった。
「湯殿の準備……」
「できてまーす」
はい。と必要なもの一式を渡された。
この子たちは、今日の客があの男だったということを知っていて、
これまでなにをしていたかを知っていて。
さすがに、このあたしが流された、っていうことまでは知らないんだろうけど。
少し軽くなっていた自己嫌悪が、また重くなった。
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